成熟した文化のあるところに、必ずといってよいほど存在するのが「お菓子の充実」です。プラナカンたちも例外ではありません。
中国本土でも忘れ去られている年中行事を厳密に守り、頻繁に執り行っているプラナカンにとってクエ(マレー/福建語で菓子の意味。KuehまたはKuih)と呼ばれるスイーツの存在は特別なものでした。おまけにパーティー好きの彼らにとって、小腹がへった時にいつでもつまめるスイーツは、日々の生活に絶対に欠かせないものでした。
ニョニャのスイーツは料理と同じように、マレーやインドネシア、タイ、中国などの影響はもちろん、ヨーロッパの影響も多く受けており、その特徴は鮮やかな色彩、2色や3色、中にはレインボーカラーなどの色が幾重にも層をなしているものが多いことです。一見すると尻込みしそうな色合いですが、その多くは天然の素材から抽出されています。
代表的なニョニャ・クエ)
クエ・ラピスKueh Lapis (ラピス・サグ、レインボー・ラピスともいう)
赤や黄色、緑などが幾重にも層になったういろう風のお菓子です。ココナッツ風味も甘さ控えめの味は子供にも大人にも人気です。同名の菓子でバウム・クーヘンのような焼き菓子もありますが、これはインドネシア発祥のお菓子で、ニョニャ・クエとはいえませんが、これも人気があります。
オンデ・オンデ Onde Onde
ニョニャ・クエの最高傑作(?)。タピオカ粉や餅米の粉に、すりつぶしたスイートポテトをこねて作ったお団子の中に、トロ〜リとろける香ばしい黒砂糖グラメラカが入っているものです。シンガポールでは残念ながら、この団子がぼてーっとしたテクスチャーのものがほとんど。絶品オンデオンデはマラッカで食べられます。
ひんやり系デザートの代表選手といえば、チェンドルChendol。チェンドルは緑色の細長いゼリーとゆであずき、パームシュガーの黒蜜とココナッツミルクの入ったカキ氷デザート。このほか、サゴ・グラメラカSago Gula Melakaもおすすめ。タピオカのプディングに黒蜜とココナッツ・クリームをかけただけのシンプルな味がクセになります。