3 Cities of Peranakan Chic

マラッカ Malacca

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しっとりとした趣きのある古都

15世紀初頭、マレー半島に誕生したマレーの王国マラッカ。アラブ、インド、中国など東西交易の拠点として栄えました。プラナカンのルーツはこの都に住みついた中国系移民ではないかといわれています。
西洋列強にとってアジア支配の重要な拠点と目されたマラッカはポルトガルに占領され、その後オランダ領、続いてイギリス領となります。
こうした歴史的役割の重要性によって、2007年7月マラッカはユネスコ歴史遺産に指定されました。

観光客の多くは砦や教会が並ぶオランダ広場だけを見て帰りますが、チャイナタウンのヒーレンSt.はオランダ時代からの家が残る歴史的な通り、プラナカンの屋敷が連なる億万長者通りとも呼ばれました。今では土産物屋が並ぶお隣のジョンカーSt.もプラナカンの屋敷が連なる通りでした。

この街の楽しみ方は古い家並みを眺めたり、アンティークショップめぐり。ジョンカーSt.やヒーレンStにはプラナカン・アンティークを扱う店や、ニョニャ・ビーズ刺繍のサンダルなどを扱うお店がいくつかあります。

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マラッカではプラナカン屋敷を改造したプチ・ホテル、Hotel PuriBaba Houseなどに泊まってみるのもいいでしょう。また優雅に過ごされたい方にはコロニアル・バンガローを再利用した豪華ホテル、The Majestic Malaccaもおすすめ。ここではニョニャスタイルのスパが人気です。

マラッカ市内にはたくさんのニョニャ料理屋があるほか、おいしいニョニャ粽やニョニャ・スイーツもお忘れずに。特にマラッカ特産のグラ・メラカ(パーム・シュガー)を使ったオンデ・オンデやかき氷デザートのチェンドルはマスト!

最大の見所はヒーレンSt.にあるババ・ニョニャ・ヘリテージ博物館、本物のプラナカン屋敷を公開しています。一般公開しているプラナカン屋敷はここくらいですが、前述のHotel PuriやBaba Houseに立ち寄ったり、ヒーレンSt.の107番にあるRestoran Peranakanでお食事やお茶してみてはいかが。また、ヒーレンSt.の8番の家も地元のNPOによって修復され一般公開されています。規模は小さいけれど、ショップハウス建築について知ることができます。見学の際はほんの少しでもよいのでお布施をしてください。

またマラッカにはマレーシア最古の中国寺院、青雲亭 Cheng Hoon Teng チェン・フン・テン寺があります。この寺の創建に関わったのはもちろんプラナカンたちです。その子孫ら管財人たちのグループにより見事に修復されています。

ペナン Penang

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大富豪たちの夢の跡、マレーシア屈指のグルメタウン

マレー半島で最初にイギリスが進出したのはペナン島です。イギリス植民地となるとマラッカのプラナカンたちをはじめ、多くの中国系移民が近隣諸国から集まっただけでなく、中国大陸からも大量のクーリー(肉体労働者)たちが集まりました。インド系の移民も多い街ですが、ペナンは中国系が大多数を占める島となりました。

プラナカンばかりではなく、新移民たちの中にも大富豪になる者は多く、豪勢な西洋風大邸宅が並ぶ億万長者通りがあります。開発されずに古いショップハウスが残るジョージタウンは植民地政府の官庁だった白亜のコロニアル建築の並ぶ風情のある街です。そんなジョージタウンもマラッカとともに2007年7月ユネスコ世界遺産に指定されました。

ペナンは広範囲に見どころが点在しています。プラナカン関連で一番の見どころといえば、ピナン・プラナカン・マンションでしょう。ここはプラナカン・アンティークのコレクションが見事、ゴージャスなペナン式プラナカン・スタイルの建築もみどころです。

プラナカンの屋敷ではありませんが、チョン・ファッ・ツィー・マンション(通称ブルーマンション)も是非訪れてください。ここも中国と西洋が折衷された建物が見事で、ホテルとして宿泊することもできます。ホテル客以外は1日に2回催行される館内ツアーに参加すれば見学できます。

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宿泊には前述のチョン・ファッツ・ツィー・マンションはいかがでしょう。不思議な空間をじっくり体験することができます。市内には快適に滞在のできる高級ホテルもたくさんありますが、コロニアルな雰囲気を味わうならE&O Hotelもお薦めです。

安宿街として知られるチュリアSt.にはアンティーク・ショップも多く集まっています。またペナンといえば、ニョニャ・クバヤが有名。腕のいい職人が多く、シンガポールからわざわざ特注するプラナカンたちも少なくありません。中でも有名なお店はKim Fashion。マレーシアの人間国宝にあたる賞を受賞したクバヤテイラーのお店です。

またペナンはマレーシアきってのグルメタウン。タイ料理の影響も強くみられるペナン式ニョニャ料理は洗練度において三都の中でもトップクラスといってもいいでしょう。ニョニャ料理もさることながら、ペナンといえば屋台。チャークェイティヤオとアサム・ラクサ、ホッケンミー(シンガポールでいうプローンミー)など屋台料理が目白押しです。

街中を歩けば屋台だらけです。ガーニーなどの観光屋台は避け、チャイナタウン周辺やプラウティクス周辺の屋台をいろいろトライしてみるといいでしょう。屋台がぎっしり並ぶマカリスターRd周辺は有名な屋台が多く、そのためシンガポール人客は最寄りのSunwayホテルに宿をとるぐらいです。

シンガポール Singapore

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変貌を続けるモダンシティ

イギリス東インド会社のラッフルズ卿が上陸、シンガポールがイギリス植民地となり、海峡植民地の首都となると、マラッカのプラナカンたちはこぞって商売の拠点を移したり、支店を出し、家族を送ります。そんなわけで、シンガポールのプラナカンたちは今でもマラッカと結びつきを持っている人たちが多いのです。

政治・社会福祉にも広く貢献したプラナカンたちは、シンガポールの歴史に残る名士たちがたくさんいます。ペナン同様に白亜のコロニアル建築が並び、無数のショップハウスが街を形成しました。ここにも大量の移民が中国やインドから集まり、大きなチャイナタウンやインド人街が作られました。

プラナカンたちがコミュニティーを築いたのはチャイナタウン周辺やシンガポールの目抜き通りとなったオーチャードRd.にあるエメラルド・ヒル界隈、そしてジュー・チアットRd.を中心とするカトン地区です。

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カトン地区にはプラナカン関連のショップが集まっています。ニョニャ・クバヤとビーズサンダルの店 Rumah Bebe、粽やお土産物が充実したKim Chooがショッピングにぴったり。随一のコレクションを誇るカトン・アンティーク・ハウス(208 Beach Rd, Tel: 6345-1220)では要予約で館内ツアーを実施しています。ジュー・チアットRd.からちょっと入ったところにあるKoon Seng Rd.などの家並みを見ながら、食べ歩きも楽しいエリアです。

都心部ではプラナカン博物館がオープンし、素晴らしいプラナカン・コレクションの展示があります。ここのミュージアムショップにはプラナカン関連の雑貨も揃っていてお薦めです。またチャイナタウンの外れのブレアRd周辺もプラナカン・コミュニティーがあったところで、街並散歩が楽しいエリアです。気軽に入りやすいアンティークショップのGuan Antique (Kampong Bahru Rd)を覗くのもよし、国立シンガポール大学が修復し管理しているBaba Houseでは館内ツアーに参加すれば内部見学ができます(要予約)。